年齢/職業(撮影時):
35歳/タップダンススタジオスタッフ、フィギュア制作など
Pickup Voice:
「消えてしまうものに出会うと美しいと思えるかもしれない」
おすすめの一冊:
『小林秀雄全集 第八巻 無情といふ事, モオツァルト』
著者/出版社:
小林秀雄/新潮社
この本を贈るなら誰に贈る?:
れから出会う未来の人
編集後記:
『重要ではあるけど、説明はできないもの』
タップダンススタジオのスタッフとして動きつつ、フィギュア制作の仕事もしている女性。
そしてお持ちいただいた一冊は「小林秀雄 全集」。何故その一冊を?という疑問は、お話しを聞くうちに納得に変わっていきました。
全集の中でも特に「これ」というのは表題にもなっている「無常といふ事」。
中学生の時に授業で配られたプリントで出会い、意味や解釈はよく分からないけれど、とても心に残ったそうです。
以来プリントを保管して時折見返していた折に、古本で300円で売っていた全集を手に入れたそう。
美大でアーティスティックな感性を磨いた彼女の中で、特に印象に残っているのは、
「生きている人って、ほんとうにどうしようもない代物で、不安定で形成していない。死んでしまった人は何でこんなにしっかり形を成しているんだろう」という内容の一節。
そこに「それって何なんだろう」という疑問が生まれ、今だに答えは出てないが、時折考えるテーマだそうです。
そしていろいろお話しいただいた中でも「消えてしまうものに出会うと美しいと思えるかもしれない」という一言が印象的でした。
今手伝っているタップダンスのスタジオで、世界で活躍するトップレベルの技を見ている時にも、同じように美しいと感じる事があるそう。
モノづくりに関わりながら一瞬一瞬二度とないものの美しさを感じ、大切にするその精神にこの一冊の内容が重なった気がしまた。
「全く同じ状態の本がもう一冊あったら誰に贈りますか?」という質問には、
「この人なら分かってくれるって人に渡したいけど、あえてゆうなら、これから出会う未来の人にあげたいですね。」との事。
それはどんな人なのか?楽しみでなりません。
Interview text by Makoto Ebi
小林秀雄全集〈第8巻〉モオツァルト
この機会に小林秀雄を読んでみるのもいいと思う。 |