年齢/職業(撮影時):
30歳/本屋店長
Pickup Voice:
「『自分で選んで、そこから始まる読書』っていうのが、この本が初めてだったんです」
おすすめの一冊:
『マンスフィールド短篇集』
著者/出版社:
キャサリン・マンスフィールド/筑摩書房
この本を贈るなら誰に贈る?:
大人ではない女の子
編集後記:
『原点ともいえる一冊』
下北沢の書店、B&Bにて店長をされている女性。
仕事がら毎日たくさんの本に触れているわけですが、その原点ともいえる一冊が、高校生の時に新宿ルミネの青山ブックセンターで購入されたというこの本でした。
内容は作者が子供時代に過ごしたニュージーランドでの話しを題材にした少女が主人公のお話しなのですが、海外小説への憧れからふと手にとったこの一冊が、それまで読書は夏休み学校から与えられるものであったり、昔から知っていたもの中心だったのが、この本をきっかけに『自分で選んで、そこから始まる読書』が生まれ、同じ作者、翻訳者の本などを探すようになり読書に繋がりが生まれていったそうです。
34歳で亡くなったため、とても作品が少ないというマンスフィールド。起承転結というより、細かい情景や心情の動きが描かれていて、若い女性の視点で書かれている文章は所々で瑞々しさを感じられるそう。
一節読んでいただいた表現にも、心洗われるような文章が描かれており、「水晶のような作家」というのに思わず納得してしまいました。どんな時に読まれますか?という質問にも「荒んだ時に」というお応えも妙に納得です。
実際に作家の住んでいた家や、物語内に登場する植物園にも行ってみたり、絶版になった本書を書店でみかける度に買ってしまうと話すその笑顔からは、青春時代をともに過ごした作品に対する愛を感じました。
Interview text by Makoto Ebi
マンスフィールド短篇集 (ちくま文庫)
心洗われる表現に溢れています。 |