Pickup Voice:
「その時その時によって本に求めるものが変わるので、読了感が変わりますね」
おすすめの一冊:
『かもめのジョナサン』
著者/出版社:
リチャード バック (著), 五木 寛之 (翻訳)/新潮社
この本を贈るなら誰に贈る?:
人生の岐路に立っている人
編集後記:
『ずっと隣を飛び続けてきてくれた、1羽のカモメ』
彼女がジョナサンに初めて出会ったのは、小学校高学年のとき。家の本棚にささっていた1冊を、たまたま手に取ったことがきっかけだそうです。まさか、こんなにも人生に寄り添う大切な本になるとは、思いもしていなかったでしょう。
最初に読んだときに抱いた感想は、「目標を持って生きていれば、いいことがあるんだな」というもの。仲間たちから変わり者扱いをされても、自分の信じた道をつきすすむジョナサンの姿に感銘を受けました。それから幾度となく読み返してきたそうですが、その度に違う感情を与えてくれる、なんとも不思議な本だと言います。最近では精神論的な要素だけではなく、もう少し心の奥深くに響いてくる、スピリチュアルなものを感じることが多いそうです。
小さい頃に読んだ本を改めて読み返してみたら、新しい発見があったり、昔とは全く違ったポイントで感動したりということは、そんなに珍しいことではないのかもしれません。しかしそもそも、その本を大事に持ち続けていたとか、別の場所で巡り会うことができたということが、とても貴重なことなのではないでしょうか。写真や思い出もなんでもデータで残せるからこそ、それに安心してしまって「見返す」ことをしなくなりがちな現代。自分にとって大切なものはきちんと「形」で手元に置いておくということも必要だなと、教えてもらったエピソードでした。
Interview text by Yui Shimura
かもめのジョナサン: 【完成版】 (新潮文庫)
すべての困難は、あなたへの贈り物を両手に抱えている。 by リチャード・バック |