年齢/職業(撮影時):
25歳/会社員
Pickup Voice:
「ほっとできるんですね、読むたびに。」
おすすめの一冊:
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
著者/出版社:
吉田 篤弘 (著)/中央公論新社
この本を贈るなら誰に贈る?:
どなたでも。
編集後記:
『共通するのは、思いやり』
タイトルを聞いただけでもお腹が空いてくる。そんな美味しい香り漂う小説を持ってきたのは、人に本を贈るのが好きという青年でした。この本は今まで数多くプレゼントしてきた中でも、相手の反応が特によかった1冊だそうです。
夢のように美味しいサンドイッチをつくるパン屋で働き始め、一緒に提供するスープづくりに奮闘する主人公と、周りの人々の日常を描いた短編集。何か特別な事件が起こるわけではないけれど、読むとホッとする。そこに流れる空気のおだやかさと優しさが、主人公がつくろうとするスープの温度と重なります。そして、その温度を友人にも味わってほしいと本をプレゼントする彼の人柄とも重なって……話を聞いているうちに、本の魅力がどんどん増していきました。贈られた人がみんな喜んだというのも、納得です。
思えば、誰かのために食事をつくるという行為と、本を贈るという行為には、共通点があるような気がします。相手のコンディションを気遣って具材や調理法を考えること、相手の好みに合いそうなストーリーや雰囲気の本を選ぶこと。その過程で込められた気持ちが大きいほど、料理は美味しく感じるし、本は面白くなります。だから、人に本をプレゼントしてもらうのって、嬉しいんですね。
Interview text by Yui Shimura
それからはスープのことばかり考えて暮らした (中公文庫)
『暮しの手帖』で好評を博したそうです。 |